今週の名画座
牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件
を見に行きたい。エドワード・ヤン監督作品で台湾映画なので
映画初心者である私には馴染みがない。最近名画座に行くことを覚えだしたので
楽しみである。ブレードランナー2049がやるのでそれも見に行きたいが
何となく、そんなに面白くなさそうな気配がする。いい意味で裏切られるといいが
この前見たアンジェイムンクの「鉄路の男」は中々引き込まれるものがあった。
冒頭の機関車が手前に迫る様を見上げるような角度で撮る画は時代の古さを
感じさせない圧倒的な存在感でフィルムの口火を切った。
シナリオ自体は起きてしまった列車事故の原因を探るため、その原因となった人物の
人となりを身近な人に聞く回想形式でありハリウッド的冒険譚とは乖離しているため
退屈を覚える人もいるかもしれない。私はヒューマンドラマをよく見るので遅々として進まない展開に慣れっこであり、むしろポーランドの映画監督が叙情的な物語をどう描くのか気になった。背景に共産主義の匂いがムンムンする中で機関車を体の一部のように動かせるとうそぶくベテラン機関士の誇り、国策として石炭の節約を迫られることへの葛藤、戦後間もなくの疲弊しきった世の中で憧れの機関車で働ける新人の喜び、ベテラン機関士に中々認めてもらえない悔しさなど背景が違えどどの世界でも共通する人間模様がそこにあった。
新宿TOHOシネマの朝10時からクラシック復刻映画がやっているのもいい。
過去に天国と地獄、泥の河を見たが鑑賞後に思わず嘆息した。
特に天国と地獄は凄まじい緊迫感と引き込まれる展開に時間を忘れてしまった。
後にも先にも、鑑賞後に「すげぇ」の一言が思わずこぼれ出たのは
恐らくこの作品くらいなのではないか。7人の侍と羅生門は見たことがあったが、
天国と地獄の衝撃は、他の黒澤明作品への興味を掻き立てる。
今は「生きる」という作品が気になっていて、機会があれば見てみたいが
中々レンタルビデオ屋にもなかったりする。